父と暮らせば

井上ひさしが「ヒロシマ・ナガサキを舞台にした話を書かなければ」の想いを書いた一つ。

原爆で被害を受け、死んでしまった、死んでいく人、そして生きていく人の思いや葛藤を「二人一役の一人芝居」でつづっている。

「二人一役の一人芝居」って?、結婚適齢期の主人公が男性から想いを寄せられ、父や友人が死んでしまい幸せになるのに抵抗を感じている彼女、でも幸せになりたい気持ちを死んでしまった父が演じるので、実際は二人芝居。そして二つの葛藤が一つになり、結婚へと。

ちょっと前にBSで宮沢りえ主演で映画が放映(つい最近も放映した)して、途中から見たので読んでみたくなった。

この本を買ったときは、火星年代記を読んでいる最中で「優しく雨ぞ降りしきる」章を読む前だった。そして「優しく雨ぞ降りしきる」へ読み進んで背筋が寒くなった、文中に高性能爆弾の閃光で5人家族が庭で楽しく遊んでいた影が、家の外壁に残っている描写。そう、広島や長崎であった青写真のように外壁に人の影が残った事、ブラッドベリはヒロシマ・ナガサキの事を知っていて文中に取り上げたのだろう。偶然読みたくなった「父と暮らせば」と見えないところで結びついてしまったのに驚きを感じた。

ヒロシマ・ナガサキ、知見は少ない。小学校時に立ち読みした「はだしのゲン」が記憶に残る最初。ゲンはちょっとしたタイミングで生き、目の前に居たオバサンは閃光を浴びて死んでしまう、家族は倒壊した家の下敷きで生き別れる。「父と暮らせば」の主人公もちょっとしたタイミングで、父は倒壊した家の下で炎に巻き込まれ生き別れとなる。

ちょっとした違いで生死を分ける、多く有ったんだろう。主人公は生きる・幸せになるに罪悪感を感じ苦悩する、そんな人々がどんだけ居たんだろう辛いことである。

ヒロシマに続き今日はナガサキ慰霊の日、放射能に怯えない日が来ますように。

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